「君の名前は?」
「クーチ」
「くーち?」
「そう。本名を思い出せないんだ」
5歳の時に、
プロのサーファーだった母親が、この海で他界した。
父親が連れてきた新しい家族に、
彼女はどうしても
馴染むことが出来なかった。
強くて、孤独な瞳の意味
日の落ちたワイキキビーチに寝そべり、
僕は言った。
「君と会えて、よかった」
本気で、平気で、その言葉が洩れた。
口説いてるつもりはなかったが、
クーチは笑い泣きのように顔を歪ませた。
誰かを守りたいと思ったのは、きっとそれが初めてだった。
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